尋常性乾癬
■当院での尋常性乾癬の治療
- ステロイド外用剤
- ビタミンD3外用
- 抗アレルギー剤内服
- TYK2阻害剤内服(ソーティクツ錠)
- 紫外線照射
- 免疫抑制剤内服
- 生物学的製剤注射
※レミケード点滴治療は行っておりません
■尋常性乾癬についてのQ&A
尋常性乾癬はうつりますか?
尋常性乾癬は、免疫の病気であり、新型コロナウイルスのような感染症と全く異なる病気です。尋常性乾癬は、人にうつりません。
乾癬はどういう病気ですか?
銀白色の鱗屑(皮膚の粉)をともない境界明瞭な盛り上がった紅斑が全身に出ます。乾癬の患者さんの90%位がこの症状です(尋常性乾癬と呼びます)。大きさ、数、形は様々で、発疹が癒合して大きな病変を作ることもあります。できやすい部位は慢性の機械的な刺激を受けやすい頭部、肘・膝、臀部、下腿伸側などです。青壮年期に発症することが多く、多発しますが、通常、内臓を侵すことはありません。かゆみは約50%の患者さんにみられます。爪の変形や関節炎を伴うこともあります。まれに発疹が全身におよぶこともあります(乾癬性紅皮症)。その他、喉が痛んだ後(扁桃腺炎)に雨滴状の小さな乾癬皮疹ができる滴状乾癬、重症の汎発型性膿疱性乾癬があります。
頻度はどのくらいですか?
人口のおよそ0.1%と推定されています。昔は日本人には極めてまれと考えられていましたが、徐々に増加傾向にあり、現在では決してまれとはいえなくなりました。白人では人口の2-3%といわれており頻度の高い皮膚病として知られています。
乾癬の原因は何ですか?
まだ完全にはわかっていませんが、乾癬になりやすい遺伝的素因があることは解っています。遺伝的素因に様々な環境因子(不規則な生活や食事、ストレス、肥満、感染症、特殊な薬剤など)が加わると発症すると言われています。欧米では頻度が高いことのほか、家族内発症が20~40%と高率であることが知られています。ただし日本では家族内発症頻度は4~5%と欧米に比べずっと低率です。
どんな時に発疹が出やすいですか?
上気道感染(かぜ、扁桃炎)などの感染症、擦ったりする機械的刺激、特殊な薬剤、仕事や家庭でのストレスなどがあげられます。逆に日光(紫外線)は乾癬に対し良い効果があります。顔は発疹があまり出ませんが、これは紫外線のためと考えられています。乾癬の場合、発疹の存在そのものにより精神的、社会的に生活の質(QOL)が障害されていることに加え、慢性であるがゆえの治療(特に外用療法)の煩わしさが存在します。治療に対する不満は、それ自体がストレスとなりますから納得がいくまで治療方針の説明を受けたらいいでしょう。
どういう場所に発疹が出やすいですか?
乾癬の発疹は、全身のどこにでも出ますが、こすれる場所に出やすいという特徴があります。具体的には肘、膝、腰まわりなどです。頭も毛髪が伸びる時、毛が皮膚をこするため好発部位となります。ですから、たとえば入浴時にもあまり硬いタオルでこすることはよくありません。細いジーパンも好ましくありません。かゆみのため、引っ掻くことも皮疹の悪化につながります。
かゆくて困るのですが。
乾癬の発疹はしばしばかゆみをともないます。特に入浴、アルコールや香辛料の強い食事など身体が温まることでかゆみが起きることがあります。かゆみはこする刺激のもとになりますから、かゆみをともなう場合は、かゆみ止めの薬をのみます。乾癬の場合、かゆいといっても程度はそれほど強くないことが普通です。あまりかゆみが強い場合は、別な皮膚病の可能性もありますから、医師に相談した方がいいでしょう。
どんな治療法がありますか?
乾癬は慢性で軽快と悪化を繰り返しますから一律な治療方針はなく、患者さんの病気の程度、おかれた状況に応じた治療法を選択することになります。通常、外用薬(塗り薬)からスタートします。外用薬はステロイド外用薬、ビタミンD3外用薬が主に使われますが、各々、特性が異なります。内服薬(のみ薬)としては、レチノイド、シクロスポリン、メソトレキサート(これのみ日本では保険適応がありません)が主なものです。これに紫外線療法を加えた3つ(外用療法、内服療法、光線療法)が基本的な治療法です。2010年からは、これらの治療法で十分な効果が得らえない場合、副作用などで内服薬が使えない場合には抗体療法という新しい治療が使えるようになりました。アダリムマブ(皮下注射)、インフリキシマブ(点滴注射)、ウステキヌマブ(皮下注射)がこの治療に該当します。 関節炎が強い場合は、痛み止めの飲み薬を使います。また発疹の程度にかかわらず関節炎に対し、注射薬や内服薬を使う可能性が高くなります。
具体的にはどんな治療になりますか?
乾癬の治療は外用療法、内服療法、光線療法、抗体療法の4つが主なもので、これらを症状にあわせ適宜、選択することになります。さらにこれらを同時期に組み合わせたり、1つ1つの治療を時期的にずらしたりする方法もあります。医師が治療法を選択する場合、病気の性質が慢性であることを考えて、治療効果と副作用(短期的なものも長期的なものも含めて)のバランスのもとに選択していることを理解して下さい。