# かぶれ(接触性皮膚炎)とは?

接触皮膚炎とは外来性の刺激物質や抗原(低分子の抗原であるハプテン)が皮膚に接触することによって発症する湿疹性の炎症をいいます。湿疹とは、外的、内的刺激に対する主に表皮(皮膚の最も外にある皮)を炎症の場とし、かゆみ、ヒリヒリ感を伴う可逆性の炎症反応で、臨床的に湿疹三角に示されるように、紅斑(赤い斑)、丘疹(ぶつぶつ)、小水疱(水ぶくれ)などが混ざってジクジクした皮膚から慢性化すると苔癬化(ごわごわした皮膚)に至る皮疹から成り立つ皮膚疾患の総称です。

# かぶれ(接触性皮膚炎)についてのQ&A

# 接触皮膚炎(かぶれ)にはどのような種類がありますか?

接触皮膚炎は大きく刺激性とアレルギー性に分類されます。さらに、光線の関与したタイプを加えて、

  • (1)刺激性接触皮膚炎
  • (2)アレルギー性接触皮膚炎
  • (3)光接触皮膚炎(光毒性接触皮膚炎、光アレルギー性接触皮膚炎)
  • (4)全身性接触皮膚炎・接触皮膚炎症候群 に分類できます。

# 刺激性接触皮膚炎が発症するメカニズムはどのようなものですか?

角層はバリアの役割を果たしており、正常な皮膚では分子量1,000以上の物質が角層を通過することはないと考えられています。しかし、現在の生活環境では角層の障害がおこる機会が多くなっているため、皮膚に接触した石鹸、強酸性、強アルカリ性化学物質などの皮膚を刺激する物質が障害部位より侵入して角化細胞を刺激して炎症を引き起こす蛋白の産生を誘導し、炎症細胞の局所への浸潤を引き起こし炎症が起こると考えられています。アレルギー体質でない人にも起こるかぶれです。

# アレルギー性接触皮膚炎が発症するメカニズムはどのようなものですか?

アレルギー性接触皮膚炎は刺激性接触皮膚炎と異なり、主に微量の低分子の抗原であるウルシ、ニッケルなどのハプテンが皮膚について皮膚炎を起こします。アレルギー性接触皮膚炎の発症には抗原にかぶれてしまう感作相とかぶれた後に抗原が再度皮膚に接触して炎症を起こす惹起相の2相があるとされています。抗原に感作されたアレルギーのある方のみかぶれが起こります。

# 接触皮膚炎(かぶれ)の患者さんの頻度はどの程度ですか?

接触皮膚炎は、皮膚科外来患者の4 - 30%を占めるポピュラーな皮膚疾患の一つです。  接触皮膚炎の原因となる主たる製品は外用薬と化粧品が他をぬいて頻度の高いものとなっています。接触皮膚炎のなかでの刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎の比率は、かつてはアレルギー性接触皮膚炎の方が多い傾向がみられていましたが、最近では、刺激性接触皮膚炎の方が多くなる傾向がみられます。

# 接触皮膚炎(かぶれ)の検査はどのようなものがありますか?

アレルギー性接触皮膚炎の検査で最も重要な検査法はパッチテストです。パッチテストは、十分な量のハプテン(アレルゲン)を強制的に皮膚に吸収させ、アレルギー反応を惹起させます。従って、貼布されるアレルゲンの量・濃度および溶媒となる基剤、貼布に用いるパッチテストユニット・貼布時間などが結果に影響を及ぼすため、訓練された医療従事者(皮膚科医)により行われなくてはなりません。

# パッチテストはどのような検査法なのですか?

あらかじめ原因と考えられる物質をパッチテストユニット(絆創膏に皿を載せたもの)に付けておきます。通常、背部(傍脊椎部)の外見上正常な場所に48時間貼布します。アレルゲンは上背部や上腕外側に貼布することが推奨されています。貼布後、シャワー、入浴、スポーツ、発汗の多い労働は控えるようにします。パッチテストの判定は複数回実施することが推奨されています。貼布した48時間後にパッチテストユニットを除去し、テープ除去に伴う刺激反応が消退する約1時間30分~2時間後に1回目の判定を実施し、その後72時間後、又は96時間後、そして1週間後に判定を行います。パッチテストにより、色が黒くなったり白くなったり、傷あとが盛り上がることがあります。検査を実施する前には、このようなパッチテストの危険性がありますので、患者さんが同意した上で検査を行う必要があります。

# 職業性接触皮膚炎とはどのような病気ですか?

職業と密接に関連した疾病は職業性皮膚疾患と呼ばれています。職業性皮膚疾患は多彩であり、発生頻度では職業性疾患全体の首位を占め、接触皮膚炎(かぶれ)、光接触皮膚炎(光が関係したかぶれ)、ざ瘡(にきび)、色素異常(肌の色が白くなったり黒くなったりします)、紫外線障害(紫外線による皮膚の炎症)、慢性放射線皮膚炎(放射線による皮膚の障害)、タール・ピッチ皮膚症、砒素皮膚症、熱傷(やけど)、凍傷(寒さによる皮膚の障害)、皮膚癌、皮膚循環障害、感染症があります。腫瘍以外の病変を職業性皮膚炎と言われています。

# 日常品による接触皮膚炎(かぶれ)はどのようなものがありますか?

日常生活の中で皮膚は化学物質と接触する頻度が高く、日用品として使用される製品が接触皮膚炎を誘発することもあり、それらの製品の種類は幅広いです。洗剤などに広く使用される界面活性剤、クリーニング溶剤などは刺激性接触皮膚炎を、ゴム製品に使用されるゴム用薬品や接着剤成分、繊維製品・プラスチック製品に使用されるホルムアルデヒド・着色剤・紫外線吸収剤・抗菌剤などはアレルギー性接触皮膚炎を誘発します。日用品の中には患者が原因製品だと気づかずに使用し続け湿疹病変が慢性化していることも少なくありません。

# 化粧品、毛染めによる接触皮膚炎(かぶれ)にはどのようなものがありますか?

化粧品は、薬事法では、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又皮膚もしくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされているものを示しますが、一般用語としては、それに、染毛剤、コールドパーマ液、薬用歯磨きといった医薬部外品の一部も含んでいます。これらが、皮膚に直接触れることで生じる皮膚炎を化粧品関連接触皮膚炎、略して化粧品皮膚炎と総称されます。化粧品皮膚炎は、一般の接触皮膚炎同様に、臨床的に、アレルギー性接触皮膚炎、刺激性接触皮膚炎、光アレルギー性接触皮膚炎、色素性接触皮膚炎などに分類されます。

# 食物による接触皮膚炎(かぶれ)にはどのようなものがありますか?

食物による接触皮膚炎の多くは調理人や農業従事者、または主婦など頻繁に手を使う人に生じます。原因として多種多様の食物によるものが知られていますがマンゴなどの植物性食物によるものが多いです。しかし近年健康ブームによって健康食品の使用が増え、副作用の報告も増えてきています。食物の接触皮膚炎は食物のとげなどによる刺激性接触皮膚炎、アレルギーを起こす抗原を触ることにより痒いブツブツができるアレルギー性接触皮膚炎、触った直後に虫刺されのときに見られるような蕁麻疹がみられる接触蕁麻疹、抗原がついた後に光が当たることによって誘発される光接触皮膚炎にわけられます。

# 金属、歯科材料による接触皮膚炎(かぶれ)はどのようなものですか?

金属はアクセサリー、コイン、時計、革製品、セメント、ステンレス、塗料など多くのものに含まれ汗などで溶けでた金属が接触皮膚炎を起こします。日本接触皮膚炎学会(JCDRG)が1994年度に施行したJCDRGスタンダードパッチテストシリーズ陽性率本邦集計で、上位5項目中に1位塩化コバルト(陽性率17.3%)、2位硫酸ニッケル(同13.5%)、4位重クロム酸カリウム(同9.2%)、5位塩化水銀アンモニウム(同7.3%)と4種の金属が占め頻度の高い抗原です。以前、クロムが陽性率第1位を占め、しかも男性が特に高率であったのは、皮革、セメント、塗料など職業上のクロム暴露が高頻度であったためと考えられています。それに対し、現在のニッケル、コバルト陽性率の上昇は特に女性に著明で、アクセサリー着用頻度の増加を反映しているとされています。

# 全身性金属皮膚炎(全身型金属アレルギー)はどのようなものですか?

ニッケル、クロム、コバルトなどはチョコレート、ココア、豆類、香辛料、貝類、胚芽などに多く含まれています。一方歯科金属はパラジウム、金、水銀、錫などを含有することが多く、時にニッケル、クロム、コバルトなども含むこともあります。これらの金属は皮膚、粘膜、腸管、気道の粘膜で吸収され、汗、乳汁、涙、尿そして糞便中に排泄されます。その金属が生体内に吸収されることにより、掌蹠膿疱症(手足に膿がでる病気)、汗疱状湿疹(手足に水ぶくれができる病気)、扁平苔癬(口の中にレース状の白色の苔のようなものや手背などに多角形の紫紅色のブツブツが出来る病気)、貨幣状湿疹(丸いジクジクした湿疹)、痒疹(虫刺されのようなものが全身にできる病気)、紅皮症(全身が真っ赤になる病気)などを発症もしくは増悪し、その摂取の制限により軽快することがあります。このような病気を全身性金属皮膚炎といいます。

# 植物による接触皮膚炎(かぶれ)はどのようなものですか?

植物による接触皮膚炎には主に刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎があります。刺激性接触皮膚炎には植物の棘や刺毛、針状結晶などによる物理的(機械的)な刺激によるものと、葉や茎、樹液などに含まれる物質の化学的な刺激によるものがあります。アレルギー性接触皮膚炎は花や葉、茎、樹液などに含まれる物質が抗原となって主に遅延型アレルギー反応(Tリンパ球が主に炎症を引き起こし抗原に触れた後24時間から48時間後に反応が起こる反応)の機序によって接触部に皮膚炎を生じるものであります。また、一部の植物では光に当たることにより炎症が引き起こされる光接触皮膚炎(光毒性、光アレルギー性)を生じる場合もあります。

# 医薬品による接触皮膚炎(かぶれ)どのようなものですか?

接触皮膚炎の原因アレルゲンの中では医薬品の頻度が高く、その中では抗菌薬や非ステロイド系消炎薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs; NSAIDs)の外用薬によるものの頻度が高いです。ステロイド外用薬によるものも稀に見られます。これらの外用薬が湿疹や潰瘍病変に使用された場合、症状の悪化・難治化といった形をとるため、接触皮膚炎と分かりにくいことがあります。

# 光線の関与した接触皮膚炎(かぶれ)はどのようなものですか?

皮膚炎が起こるために、光を必要とする型の接触皮膚炎があり、これを光接触皮膚炎と呼びます。症状、部位は、顔面、項部、上胸部V領域、手背などの露光部位に限局して皮疹がみられます。しかし光接触皮膚炎の場合、原因物質が塗布された部位にのみ症状が起こるため、こうした露光部位全般に皮疹が見られることは少ないです。むしろこれらの一部にのみ皮疹が生じます。例えば、前腕にスプロフェン軟膏を塗布した場合は前腕のみに、上腕にケトプロフェンテープ剤を貼った場合にはその部位に四角形に皮膚炎が認められます。

# 接触皮膚炎の治療と予防法はどのようなものですか?

接触皮膚炎診療ガイドラインで治療と予防法が詳しくまとめられています。診断においては、痒いジクジクした湿疹を診たときには、アトピー性皮膚炎などの他の湿疹性疾患を鑑別することが大切です。次に、接触皮膚炎の治療で最も大切なことは原因となるアレルゲン、接触刺激因子を見つけ出し除去することです。そのためにはお医者さんは詳細な問診が必要で発症時期、発症部位、増悪や緩解の時期と自宅、職場、発汗、日光との関連性、職業歴、趣味、化粧、家事、家族歴、薬物の摂取歴などを詳しく聞く必要があります。病歴の聴取により推定された最も可能性の高い原因物質を除去することが重要です。治療は痒みや湿疹の炎症を抑えるためにステロイド外用薬を塗ることが必要です。

大阪府寝屋川市香里南之町20-8
📞072-832-0333